トランシルバニア トニー・ガトリフ監督作
をみておりました。
おそらくコレが今年最後の映画。
彼の作品ととり方、見せ方、ロマを永遠のテーマとした作り方が、本当に大好きで
最新作であるこの作品をみました。
女が男を捜し、愛に破れ、打ちひしがれ、さして新たな出会いとともに再生していく。。
という内容です。
遠い西洋の国の事だけれど、このテーマは全世界普遍的なテーマでしょう。
ヨーロッパの、他民族にて形成されるトランシルバニアを舞台に、ロードムービーに近い手法でストーリーは進みます。
映画は、ロマの文化がより分かりやすく濃くでてきます。
一番今までで分かりやすい出しかただったのでは? と思うほど。
映画の中で、音楽は苦しむためではなく、楽しむ為に在る。とロマの楽団の老人が教えます。
なるほど。
私が、好きなシーンは主人公の女が男に捨てられ、走り、泣き叫び、自分を忘れ、ロマの祭り行列にまみれ
朦朧と進むシーン。
そして酒場でナンドもある酒と歌と踊り。女の陽気で時に激しい情熱のダンス。
皿を割って、自分の中の悲しみを主人公は壊していきます。
誰かを好きになって、果たされない思いがあった人間。これは絶対理解する(リンクする)場面。
もっと粉々に壊したくて、もっと汚く、狂って一種のトランス状態。
すごく胸が痛かった。。でもこうするしかない。
どの人も自分より良く、うらやましくなる。はがゆい。 女は吐き出します。
嫌な部分だけど、だしてそれを私もリンクする。
主人公の女優はアーシア・アージェント。あやしく、危うく聖女でした。
彼の作品は本当に人間をそのまま包まず見せてくれます。 腹がすくと食う、欲望があればやる、死んだように眠る、踊ることに集中する、有機物も無機物も排泄する。 とにかく自然の流れを善悪ふれあわないギリギリの表現を見せてくれます。
この世界やロマの文化にどうしようもなく惹かれる自分がいる。という事実。
女は新たにであった男と自然に暮らしていきます。 食べる・話す・移動する・暴れる・セックスする・時に許しあう・そして眠る。 出産。。。繰り返しにより、生きる熱をとりもどしていく女。
根無しの男もそれをとりもどす。
もっときっと好き嫌いはあるけど純粋なことを、そのまま撮った映画だと思った。
あこがれるとかではなく、ただ見ていたい、知って生きたい、真にこれからの年も彼の映画を見ていきたいと思った。
トランシルバニア →
http://www.net-broadway.com/nsw/cine/transylvania/